宇都宮地方裁判所 平成7年(わ)381号 判決
宣告日
平成七年一一月二二日
裁判所
宇都宮地方裁判所刑事第四係
裁判官
本間榮一
検察官
山川景逸
罪名
所得税法違反
被告人
本籍
栃木県安蘇郡田沼町大字戸奈良八五六番地
住居
右同所
職業
会社役員
氏名
小川敏朗
年齢
昭和九年八月二〇日生
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
罪となるべき事実の要旨
被告人は、栃木県安蘇郡田沼町大字戸奈良八五六番地に居住するものであるが、自己所有の土地を株式会社今仙電機製作所に譲渡したこと等に関し、自己の所得税を免れようと企て、売買価格を圧縮した虚偽の内容の売買契約書を作成するなどの方法により、右譲渡にかかる所得の一部を秘匿した上
第一 平成四年三月一〇日、栃木県佐野市若松町四二五番地所在の所轄佐野税務署において、同税務署長に対し、自己の平成三年分の実際の総所得金額が三一七万五、四〇〇円、分離短期譲渡所得金額が一億二、六二五万六、六二七円、分離長期譲渡所得金額が五億二、一七〇万四、九四八円であったにもかかわらず、自己の同年分の総所得金額が三一七万五、四〇〇円、分離短期譲渡所得金額が一二一万四、七二五円の損失、分離長期譲渡所得金額が二億四、八五五万五、二〇五円、山林所得金額が八六万一、七〇〇円で、これに対する所得税額が五、九二六万五、〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億九、三〇一万二、四〇〇円と右申告税額及び右申告書に錯誤により記入した配偶者特別控除額に対応する税額三万五、〇〇〇円の合計五九三〇万円との差額一億三、三七一万二、四〇〇円を免れ
第二 平成五年三月一五日、前記佐野税務署において、同税務署長に対し、自己の平成四年分の実際の総所得金額が三八六万二〇〇円、分離短期譲渡所得金額が六四八万四、一五五円、分離長期譲渡所得金額が三、一六一万二、七九五円、山林所得金額が一二万六、四〇〇円であったにもかかわらず、自己の同年分の総所得金額が三八六万二〇〇円、分離短期譲渡所得金額が三一万三、九〇〇円の損失、分離長期譲渡所得金額が五三三万八〇〇円、山林所得金額が一二万六、四〇〇円で、これに対する所得税額が六四万六、五〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一、一二五万三、九〇〇円と右申告税額との差額一、〇六〇万七、四〇〇円を免れ
第三 平成六年三月一五日、前記佐野税務署において、同税務署長に対し、自己の平成五年分の実際の総所得金額が三二三万九、四〇〇円、分離短期譲渡所得金額が一、九五三万七、三一五円であったにもかかわらず、自己の同年分の総所得金額が三二三万九、四〇〇円で、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると五九万三、〇五〇円の還付を受けることとなる旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額七二五万六、七〇〇円と右申告税額との差額七八四万九、七〇〇円を免れ
たものである。
適用した罰条
所得税法二三八条
平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
同法一八条
同法二五条一項
(裁判官 本間榮一)